巷ではちょっとした猫ブームなんだそう。気づけばテレビや雑誌で猫特集をよく見かけ、ドラッグストアにはペットコーナーがずらり。今までそっち方面にアンテナをはってなかったから知らなかっただけだろうけど、確かに猫ちゃんの露出は増えていますね🐾ちなみにan・anの猫さま大賞にはちょっと憧れます。もしわが家のあんこさんが載ったら…なんて親バカな妄想をしていたら募集はすでに締め切りでした。来年応募してみるか…
あんこさんは静かに暮らしたい

うちの猫、あんこさんはきれい好きのビビりスト。普段はソファーの上で寛ぎ、時にご飯の催促、時にリビングを走り回ったり(最近ではイスからテーブル、キッチンへと飛び移ることを覚えさるとびあんちゃんの異名も獲得)と悠々自適な生活を送っている。が、あんこさんは意外にも神経質。耳がいいからかちょっとしとた物音にピクっといちいち反応してしまう。特に掃除機の吸引音と近所の工事音は大の苦手で怖がってケージの三階に駆け上がり毛布にくるまってしまう。また車での移動が苦手で動物病院に向かう時にキャリーの中で粗相をしてしまい先生から「この子はビビりだねぇ」と言われる始末。うちでは「私がリビングの主!」のようにふるまってるのに?これが内弁慶というやつか…
ケージ越しの出会い

初めてあんこさんと出会ったのは今年の8月、山形市内で開催されている保護猫の里親会でのこと。里親会とは野良猫の保護活動を日々ボランティアで続けている保護主さんたちが一堂に介し、猫を家族に迎えたいと考える人と結びつけてくれる場である。私と妻は昨年ぐらいから猫ちゃんを飼いたいと思い始めにゃんこねくとさんの里親会に何度も足を運んていた。
あんこさんの旧姓はテスラ。クッションの角に縮こまり、眠っているわけでもなくどこか一点を不安げな目で見つめて、それは今となっては信じらないないくらい大人しい姿だった。それもそのはず元々猫は警戒心の強い生き物。あんこさんは今でも来客があると怖がってソファーの下から出てこないくらいの生粋のビビりスト。車に揺られて見知らぬ場所へ行き、入れ替わり立ち替わり色々な人間がケージの外から覗き込んでくる空間…一緒に暮らしてみてようやくあんこさんがちぢこまっていた理由がよく分かった。
今になって思うことがもう一つ。出会った当時のあんこさんは生後約4ヶ月。母猫、兄弟猫と共に保護されたのが7月30日と聞いているので、おそらく生まれたのが3月末〜4月頭。つまり生まれて3,4ヶ月間ほど外で暮らしていたことになる。季節は春だけど4月頭はまだまだ肌寒い季節。もし自分がその時期に野宿しろと言われればその日のうちに風邪をひいてしまうだろう。
恥ずかしながら、野良猫とは生来逞しい動物だと思っていたがそれは単なる思い込みだった。人間と違って体が小さい猫は繊細な生き物。子猫ならなおのこと。食べ物の種類が変わったりちょっとしたストレスですぐお腹を下してしまう。そのため自給自足で不規則な生活に加え、カラスや車など危険に溢れてい野外で暮らす野良猫の寿命は短いという。あくまで想像上でしかない野良猫の世界は、最近読んでいる漫画つれ猫マルルとハチを読むことで若干補完することはできたが、いずれにせよ野良猫たちが過酷な状況下に置かれているのは間違いない。だからこそ4ヶ月間も野外でよく生き抜いてくれたこと、そして野良猫だったあんこさんを保護してくれたキニーズさんには感謝してもしきれない。生まれてから3,4ヶ月間の内に母猫は子離れをする可能性が高いらしく、下手するとあんこさんは母猫から放り出されていたかもしれない。母子一緒に保護されたらしいあんこさんであったが、ちょっとタイミングがずれてたらと想像すると怖くなる。
野良の猫、家の猫

キニーズさんは保護活動と並行して自身の木工所も運営しており、オーダーメイドで猫家具も作ってくれる猫愛に溢れた活動家。初めてお会いした当時はただただ猫ちゃんをお迎えしたいという気持ちだけが先行し、知らないことや不安なことばかりだった私たち夫婦の質問にキニーズさんは一言一言丁寧に答えてくれた。その時、あんこさんもそうだがキニーズさんの人柄にも何か感じいるものがあった私たち。だけど軽はずみなエントリーはどこか衝動めいた行為ではないかと思いとどまり、その日はInstagramのアカウントだけ交換して一旦保留とさせてもらった。その後妻と家の中の環境づくりやご飯など必要なものを調べたり自分たちの生活サイクルなど色々考え、1ヶ月後の里親会で正式にエントリーさせてもらった。そしてテスラちゃん改めあんこさんは新しい家族となった。

その後、いくつか分かったことがある。野良猫から保護された猫たちは里親会に連れてもらったり、保護主さんの知合いやSNSを通じて「ずっとのお家」で迎い入れてくれる方を待つことになる。しかし声がかかることなく預かり生活が長引く猫たちも存在する。野良猫から保護猫となり家猫へと進んでいく過程で、その可能性はどんどん低くなっていくという。全てはタイミングと縁なんだろうけどそうわりきってしまうのもやるせ無い。
(「ホームレス猫をゼロに。」を目標に日々活動しているキニーズさんのInstagramには保護活動や保護されるまでの猫、その後の猫の様子等を垣間見ることができるので興味のある方はぜひご覧になってください。)
自分に何かできることはないかと自問自答する時がある。もし、外を歩いていて野良猫を見かけたらどうしたらいいのだろうか。正直今はその答えを持ち合わせていない。飼うことと保護することは全く別物です。キニーズさんだけでなく保護活動をしている人達が発見者の無責任な考えや行動によって大変な思いをしているケースも少なくないという。だから軽はずみな行動はできない。それでも間接的な支援はできそうだ。僅かではあるがご飯や生理用品などを寄付することやSNSでの情報シェアならできる。あるいはこうした記事での発信、どうか新しい家族を待っている保護猫がたくさんいるということが多くの人に知ってもらえれば幸いです。